Registered Education Savings Plan (RESP)
RESP (Registered Education Savings Plan) について、基礎知識及びそのコンセプト、また長期的な運用戦略等についてまとめてみましょう。RESPとは、大雑把に言うと、子供の将来の高等教育 (高校卒業以降の、主に大学) 費用貯蓄の為の、税制優遇措置付き資金形成制度ということになります。銀行をはじめとする各種金融機関にその口座を開設することが出来、拠出した資金を各種投資商品で非課税で運用することが出来ます。
制度的にはアメリカの529プランと似ていますが、カナダのRESP制度で最も特徴的なのは、拠出に対し政府からの各種補助金 (Grant: グラント) の給付が受けられるという点です。
RESPをはじめるべきか否か
RESPの場合は、「子供が生まれてから、大学入学の資金が必要になるまでのおよそ18年間」という長いスパンを念頭に置いた拠出/運用計画を考える必要があります。現在カナダ在住であったとしても、10年15年20年というスパンで、例えば将来日本に帰国する可能性があるのか否か、子供はカナダの高等教育機関に入るのか否か...等々、不確定な要素を考慮しなくてはいけない場合もあるでしょう。それらのファクターを踏まえ、まずは、そもそもRESPをはじめるべきなのかどうかという点から、考察してみましょう。拠出資格
RESPの「beneficiary (受益者)」となる子供は、SINを保持するカナダ居住者でなくてはなりません。例えば、子供が18歳になる前のある時点で日本に永久帰国となった場合などは、それ以降「subscriber (寄付者)」である親はその子供に対し拠出をすることは出来なくなり、当然以降のグラントの給付もなくなります。ただし、その時点まで貯蓄された資金は、引き続き運用が可能で、当然高等教育資金としての将来の引き出しも可能です。
「高等教育機関」の定義
グラント及び運用益を含めた全てのRESP資金を使用できる対象として、CRAの定義では
となっており、それぞれ
- 「qualifying educational programに入学/登録した生徒」または
- 「16歳の時点で、許可されてspecified educational programに入学/登録した生徒」
と定義され、また「post-secondary educational institution」とは
- qualifying educational program
=「post-secondary schoolレベルを対象に運営されていて、3連続週以上の期間で、週に10時間以上の履修が義務付けられている教育プログラム」- specified educational program
=「post-secondary schoolレベルを対象に運営されていて、3連続週以上の期間で、月に12時間以上の履修が義務付けられているプログラム」と定義されています。
- カナダ国内の大学/大学院/カレッジまたは専門/専修学校
- ESDC(= Employment and Social Development Canada = 雇用及び社会保障関連を管轄する政府機関) が認証する、カナダ国内の職業訓練目的の教育機関
- カナダ国外で、3連続週以上の期間でフルタイムの学生としての履修コースを提供する、大学/大学院/カレッジに相当する高等教育機関
簡単に言ってしまえば、カナダ国内の大学は当然のことながら、アメリカや日本の大学も、RESP資金の引き出し先として使用できるということになります。
引き出し目的制限
RESP資金の引き出しは、高等教育資金の為というのが原則であるので、それ以外の目的で引き出す場合には制限またはペナルティーなど不利な点があります。細かなルールは割愛しますが、最悪のシナリオで、グラントの返還及び運用益分に対する20%のペナルティーなどがあります。ただし拠出金分そのものは、いかなる場合でもペナルティの対象や課税対象とはならず守られます。
主に以上の3点を考慮した上で、大雑把に言って
- 比較的間近 (5年以内) に、永久帰国などでカナダを離れることが確定している場合
- 既に子供が高校卒業を間近(2-3年以内) に控えている場合
子供一人に付き最大$7,200給付されるCESGグラント及びその他のグラントは、拠出をすることのみでその資格を得られるわけですから、これを逃す手はありません。 また、どんなに保守的な投資先を選んだとしても、「積み立て期間が長ければ長いほど資金形成が有利になる」という、長期運用の大原則に揺るぎはなく、出来るだけ早くRESPを始めるに越したことはありません。さらに、何らかの理由で子供への高等教育資金が必要となくなった場合でも、例えばRRSPへの移管など、ある程度の逃げ道の制度も整備されています。
それらのファクターを鑑みた結果、やはり子供が生まれたばかりならばすぐにでも、既に子供が大きい場合でも、やはりすぐにでも、RESPをはじめることをお勧めします。